- 精子の数が少ない(乏精子症)
- 精子の動きが悪い(精子運動率低下)
- 精子の形態異常が多い(奇形精子症)
- 精子が全く見られない(無精子症)
- 精子の通り道が塞がっている(閉塞性無精子症)
- ホルモンの分泌異常や遺伝的な問題
男性不妊は目に見えにくく自覚症状がほとんどないため、気づかないまま時間が過ぎてしまいがち。しかし、早めに男性不妊の検査を受けることで、妊娠への道が大きく開ける可能性があるのです。
2. 男性不妊検査はどうやるのか?
男性不妊かどうかを調べるためには、まず検査を受ける必要があります。基本的な検査は以下の通りです:
精液検査
最も基本となる男性不妊検査です。数日間の禁欲後に採取した精液を顕微鏡などで詳細に調べる検査で、痛みやリスクもありません。観察項目と基準値は以下のとおりです。
| 観察項目 | 基準値(WHO 2021年) |
| 精液の量 |
1.4ml以上 |
| 濃度 |
1,600万/mL以上、運動率42%以上、正常形態率4%以上とされています |
| 運動率 |
42%以上 |
| 正常形態率 |
4%以上 |
また、採精した検体を用いて行う「精子DNA断片化検査(SDF)」では精子のDNAの損傷状況を調べ、精子の質を評価します。
血液検査
泌尿器科にてホルモンバランスを調べるための血液検査が行われます。検査項目には、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、プロラクチン、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、テストステロン、エストラジオール(E2)などが含まれます。
染色体・遺伝子検査
無精子症などの重度の男性不妊が疑われる場合、クラインフェルター症候群などの染色体異常や、AZF遺伝子欠失などの遺伝的な要因がないかを確認します。
これらの「男性不妊検査」を通して原因を明確にし、今後の治療方針を立てていきます。検査は比較的簡単かつ非侵襲的に行えるものが多いです。パートナーとともに受診しぜひ男性側も検査を受けましょう。
3.より良い精子のために始めたい生活習慣
妊活や男性不妊検査に向けて、日々の生活で精子の質を向上させることには何があるのでしょうか?
精子の濃度・運動率・形態をベストな状態に保つために、妊活中の男性には以下のことをおすすめしています:
①減(禁)煙・減酒
②規則正しい生活
③適度な運動
近年の研究では、たとえ精液の状態が正常で自然妊娠が可能であっても、男性が喫煙・飲酒や偏った食生活を続けていると、精子内部のDNAに悪影響を与える可能性があることがわかってきています。これにより、受精後や生まれてきた子どもの発育、さらには数十年後の代謝異常や慢性疾患のリスクにも関わる可能性があるとされています。
コエンザイムQ10、亜鉛、オメガ3脂肪酸、カルチニンなどのサプリメントや、野菜や穀物類、ナッツ類、魚介類などから摂れる栄養素も精子の質向上の助けになります。ぜひ日常的に取り入れましょう。
4. 男性不妊と診断されたら? 治療法はあるのか?
男性不妊症には、治療によって改善が期待できるケースと、改善が難しいケースがあります。それぞれの原因や治療法を見てみましょう。
(1) 改善が可能な原因と治療法
治療可能な原因とその対応方法は以下のとおりです。早めの受診で、妊娠の可能性を高めることができます。
- 精索静脈瘤:外科的手術による矯正が有効です。
- 下垂体機能低下(原発性):排卵誘発剤(hCG、hMGなど)の注射でホルモンバランスを整えます。
- 高プロラクチン血症・甲状腺機能亢進・高血圧や糖尿病などの慢性疾患:内科的な薬物治療により改善が期待できます。
- ステロイド剤やテストステロン製剤の長期使用によるもの:これらの薬剤を中止することで、精子の状態が回復する場合があります。
(2)改善が難しい原因のもの
治療による改善が難しい男性不妊の場合、人工授精や精子提供といった生殖補助医療が必要となります。矯正が難しい主な原因は以下のとおりです:
- 精巣の早期機能不全(早期枯渇):多くは原因不明ですが、外傷による精巣の萎縮や、幼少期のおたふく風邪(ムンプス)感染により精巣炎を起こした場合などがあります。重症の精巣炎では造精機能が完全に失われることがあります。
- 無精子症:無精子症は、大きく分けて以下の2種類に分類されます:
- 閉塞性無精子症(全体の約40%):造精機能には問題がなく、精子の通り道に障害があるタイプです。精管閉塞や精索静脈瘤など、外科的な原因が明らかな場合は手術による対応が可能です。
- 非閉塞性無精子症(全体の約60%):染色体や遺伝子異常によるものは先天的であり根本的な改善は困難です。ただし、染色体異常や遺伝子欠失の種類によって、不妊の程度には差があります。代表的なものに「クラインフェルター症候群」や「AZF遺伝子欠失」などがあります。これらの場合、顕微授精(ICSI)などの生殖補助技術の活用が必要です。
無精子症と診断された場合には、精巣精子回収術(TESE:Testicular Sperm Extraction)や 副睾丸精子吸引術(MESA:Microsurgical Epididymal Sperm Aspiration)により精子を回収し、体外受精に利用します。
体外受精で行われる顕微授精(ICSI)とは、1個の精子を卵子に注入する生殖医療技術です。精子の数が少ない、運動率が低い、奇形率が高いといった場合において有効です。
いかがでしょうか?
男性不妊は決して珍しいことではなく、適切な検査や治療で妊娠を目指すことができます。まずは男性不妊検査を受けることが第一歩です。
5. NUWA生殖医療センターで行える、男性不妊の検査や治療
NUWA生殖医療センターでは、男性不妊検査および治療を専門的に行っています。パートナーと一緒に受診しやすいよう配慮された環境で、プライバシーを守りながら丁寧なサポートを提供しています。
当院で対応している主な男性不妊検査には以下のものがあります:
- 精液検査(国内および海外の基準に対応)
- ホルモン採血
- 遺伝子検査(必要に応じて)
- 超音波診断
また、男性不妊と診断された場合には、以下のような治療・対応が可能です:
- 精索静脈瘤の外科的治療に関する連携医療機関のご紹介
- 顕微授精(ICSI)を用いた高度生殖補助医療
- 精巣精子回収術(TESE)への対応
- 栄養指導や生活習慣改善のサポート
NUWAでは、男性不妊の背景にある身体的・心理的な側面にも目を向け、パートナーとともに妊娠への道をサポートいたします。男性不妊検査を通じて問題が明らかにすることで、その分だけ的確な治療が可能になるのです。
おわりに
赤ちゃんを望むご夫婦にとって、時間はとても貴重です。妊活において「女性だけが頑張る」という時代は終わり、今では男性側のチェックも重要なステップとなっています。
「男性不妊」は珍しいことではなく、誰にでも起こり得ることです。そして早期の「男性不妊 検査」によって、多くの方が治療や対策を通じて希望を見出しています。
NUWA生殖医療センターでは、男性側も含めた総合的なサポートを行っています。赤ちゃんを授かるための第一歩として、どうぞお気軽にご相談ください。