PGS(正式名称は PGT-A, Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy) は、胚移植前に染色体検査を行う先進的な技術です。胚の一部の細胞を取り出し、23対の染色体の数が正常かどうかを調べ、健康な胚を選んで移植することで、妊娠成功率の向上を目指します。
PGSは主に胚が胚盤胞期(5日目以降)に発育した段階で行われます。これは、この時期には細胞数が多く、採取(生検)による胚への損傷が少ないためで、一般的に5~8個の細胞を採取して検査を行います。3日目に生検する場合と比べて精度が大幅に向上します。
PGS(PGT-A)の三大メリット
1.健康な胚を選別し、より的確な胚を移植
PGS(PGT-A)により、染色体数が正常な胚を選び出すことができます。染色体異常のある胚の移植を避けることで、着床失敗リスクの低減が可能です。
2.妊娠率の向上と治療期間の短縮
特に、体外受精で複数回にわたる失敗を経験したご夫婦に適しています。的確に胚を選別することで体外受精の成功率を大きく高め、妊娠という目標のより早い達成の一助となります。
3.流産率・胎児異常率の低減
PGS(PGT-A)により、染色体異常による流産や胎児異常のリスクの効果的な低減が期待できます。習慣性流産や染色体異常の家族歴があるご夫婦に、より安心な生殖医療の選択肢を提供します。
PGS(PGT-A)はどんな方に適している?検査対象となるケースとは
✅ 胚の染色体の健康状態を知りたい方
✅ 染色体異常のリスクが高い方
・35歳以上の高齢女性
・2回以上の流産経験がある方
・体外受精を繰り返し失敗している方
・染色体異常や染色体転座の家族歴がある方
※すべての体外受精で必ずPGS検査が必要というわけではありません。
実際に検査を行うかどうかは、生殖医療医と相談して決めることが大切です。
PGS(PGT-A)で検査できる染色体異常や遺伝性疾患は?
PGS(PGT-A)は主に染色体数の異常を検出するために用いられます。
(例:ダウン症候群、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、エドワーズ症候群など)
ただし、単一遺伝子による疾患(例:サラセミア、脊髄性筋萎縮症〔SMA〕、血友病など)を調べることはできません。
PGS(PGT-A)はどのように胚の生検を行うのか?~検査のながれ
胚が胚盤胞期に発育し、数百個の細胞を持つ段階で、胚培養士が外側の栄養外胚葉(将来胎盤になる部分)から5~8個の細胞を採取し、PGS(PGT-A)を行います。
PGS(PGT-A)の限界:検出できない染色体異常とは?
・胚がモザイク胚の場合:数百個ある細胞のうち5~8個を検査するため、胚全体を代表するとは限りません。採取した栄養外胚葉の細胞は正常でも、将来赤ちゃんになる内細胞塊に異常がある可能性があります。
・染色体欠失が小さすぎる場合(10Mb未満):このような微小な欠失は検出できません。
・染色体の均衡型転座:染色体の総量は変わらないため、異常として検出することができません。
※PGSで妊娠に成功した場合でも、絨毛検査や羊水検査などの検査も必ず行いましょう。
PGS(PGT-A)よくある質問
PGSをして妊娠したら、100%健康な赤ちゃんを産めるのですか?
→残念ながら、100%保証することはできません。前述のように検査には限界があり、PGS(PGT-A)やPGD(PGT-M)の技術でも検出できない遺伝子異常が存在します。そのため、妊娠後もきちんと産科健診を受け、できる限りお子さまの健康な成長を守っていくことが大切です。
39歳の佳佳さん(仮名)は2度の流産を経験し、NUWA生殖医療センターを訪れました。加齢と胚の染色体異常の関係を考慮し、朱伯威医師はPGS(PGT-A)による検査を提案。着床率を高め、流産リスクを下げるためです。
✨ 1回目の採卵:13個採卵し、7個の胚盤胞を検査へ。その結果、正常胚はなく、1個がモザイク胚という結果に。
✨ 戦略を調整し、2回目の採卵:12個採卵。自然受精+顕微授精(ICSI)を組み合わせ、最終的に2個の染色体正常胚を獲得!
PGS検査のおかげで、佳佳さんは健康な胚を選び、待望の妊娠を実現しました。
適切な検査と個別化された治療計画によって、一つひとつの努力がより確かな成果につながったのです。