不妊治療の過程で、「卵子がない」や「採れる卵胞が見つからない 」と言われるケースがあります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)やホルモンバランスの乱れであれば治療による改善が期待できますが、高齢による卵子の質低下や染色体異常は、医学的に不可逆な生理現象です。
この記事では、「改善できるケース」と「早めに卵子提供や体外受精を検討すべきケース」を整理し、時間と費用を無駄にしないための判断材料をわかりやすく解説します。
一、 なぜ卵子の数は減るのか?「卵子がない」と言われる3つの原因
女性の卵子の数は、生まれた時点ですでに決まっています。毎月の月経周期ごとに減少する一方で、増えることはありません。超音波検査で「卵子が見えません」と言われる背景には、主に以下の3つの原因があります。
1. 遺伝・先天的な体質によるもの
生まれつき原子卵胞が少ない女性もいます。これは医学的にはX染色体の異常と関係がある場合や、家族性の早発卵巣不全(POI)の遺伝的要因が関係している場合があります。 このようなタイプは若いうちからAMHの数値が異常に低く、30歳を迎える前に更年期の症状が出ることもあります。
2. 病気や手術による影響
代表的なのが「子宮内膜症(チョコレート嚢胞)」です。
- 手術による影響:チョコレート嚢胞の摘出手術では、正常な卵巣組織まで傷ついてしまうことがあり、卵子のストックが大きく減少する場合があります。
- 医療的なダメージ: 過去の抗がん剤治療、放射線治療、重度の骨盤内感染なども、卵胞環境を破壊し、卵巣機能低下につながる可能性があります。
3. 加齢による卵子への影響
最も多く、最も避けにくい原因です。35歳を超えると、卵子の「数」と「質」は同時に低下し始めます。 40歳を超える頃には卵子数だけでなく、染色体異常率も大幅に上昇します。そのため、高刺激の排卵誘発を行っても、採卵時に「卵子がない(空胞)」となるケースが少なくありません。
二、 私の卵子は本当に少ないの?検査と評価方法
「卵子がない」というショックな診断を受けた後、多くの女性が「何を基準に判断されているの?」と疑問を抱くのではないでしょうか。実は卵子の質と数は医師の経験や女性の年齢で判断するのではなく、現在の生殖医療では、卵巣機能を評価する代表的な検査として、以下の2つの方法で「在庫量」を確認することができます。
1. AMH検査(抗ミュラー管ホルモン)
AMHは、卵巣内の小さな卵胞から分泌されるホルモンです。簡単な採血検査だけで、現在の卵子の“在庫量”を推測できます。
なぜAMHが重要なのか? AMHの数値の高さ=卵子の在庫量となります。もしAMHの数値が1.0未満の場合、卵巣機能が明らかに低下しているといえます。もし0に近い場合は、卵巣機能不全に近いという警告が出ている状態です。
ポイント: AMHは月経周期に左右されにくいため、いつでも検査可能です。また、排卵誘発剤への反応予測にも重要な指標です。
2. 胞状卵胞数検査(antral follicle count:AFC)
経腟超音波を用いて生理開始直後(通常生理2~4日目)卵巣内の基礎卵胞数を確認する検査です。
- なぜAFCが重要なのか?: AMHが「在庫量」なら、AFCは「今周期に育つ可能性のある卵胞数」です。AFCが3〜5個未満の場合、強い排卵誘発を行っても採卵できる成熟卵子の数はかなり少なくなります。
- 空砲:医師は超音波検査で今周期採卵できそうな卵子があるかを確認します。誘発を行い、卵胞が育っていても採卵後卵子が入っていないケースもあります。これを「空胞(Empty Follicle Syndrome)」と呼び、卵子が成熟する機能の低下が疑われます。
三、 排卵障害を引き起こす原因とは?
検査で医師から「良い卵胞がない」「排卵していない」と言われた場合でも、必ずしも卵子がゼロという訳ではありません。それは卵子の在庫が無くなってしまったからではなく、排卵システムの異常で卵子が育っていないというケースもあるからです
排卵障害の代表的な原因は下記の通りです。
1. 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):
最も一般的な排卵障害です。PCOSの患者さまは実は卵巣内には無数の小さな卵胞があるものの、ホルモンの異常(男性ホルモン過多)などの影響で、卵胞が成熟なものに成長することができないのです。超音波検査をすると真珠のネックレスのような小さな黒い点がたくさん見えるものの、育ちそうな卵胞がないため、「卵子がない」と思われてしまうのです。
2. 高プロラクチン血症 :
ストレスや下垂体異常により、プロラクチン(通常は授乳中に大量に分泌されるホルモン)が過剰分泌される状態です。脳が「授乳中」と誤認識し、排卵を抑制してしまいます。その結果、卵巣が「休眠状態」となり、超音波で卵胞が確認できないことがあります。
3.強いストレスや生活習慣 :
女性の排卵は、脳の視床下部によって厳密にコントロールされています。 過度なダイエット、激しい運動、慢性的ストレスにより身体が「妊娠に適さない環境」と判断し、排卵を停止する指令を送ることがあります。これは一時的なケースも多く、ストレスの排除や投薬で回復する可能性があります。
四、排卵障害に対してできること
先ほど紹介したような状況の場合、以下の方法で改善が期待できることがあります。
排卵誘発剤(クロミッドなど)や注射(FSH/LH)で卵巣に信号を送り、卵胞発育を促します。特にPCOSの患者さまには比較的良好な反応が得られるケースも多くあります。
卵子の数を「増やす」ことはできませんが、食生活やコエンザイムQ10やDHEA等の抗酸化サプリで卵子の「質」の改善は期待できます。また、規則正しい睡眠とストレス軽減は、脳からの排卵指令を正常化するために非常に重要です。
AMHの数値が良いものの現時点ではすぐには妊娠出産の予定がない場合、もしくは既に卵巣機能低下の傾向が少し見られる場合は「卵子凍結」をすることで将来の保険を残すことができます。
五、それでも卵子がない場合-体質改善では難しいケース
医療技術は日々進歩していますが、色んな排卵の薬や高級なサプリを使ったとしても、まだ「卵子がない」と言われてしまうことがあります。そんな時は以下3つのような「治療限界」に達している可能性があります。
1. 早発卵巣不全 (POI/POF):
これは単なる「排卵不順」ではなく、卵巣という“銀行”が早期に営業終了してしまった状態です。 40歳未満で、AMHが極めて低く、長期間無月経が続いている女性の場合、卵巣内の原始卵胞がすでに枯渇している可能性があります。
2. 空胞化症候群:
これは、不妊治療の中でも女性にとって最も挫折を感じやすい経験です。超音波では確かに卵胞が大きく育っているのが見えており、採卵手術まで予定されていたにもかかわらず、実際に医師が採卵を行うと「中が空だった」と判明するのです。
- 空胞(EFS): このような状況は、通常、卵子の発育メカニズムに根本的な異常があること、あるいは卵子と卵胞壁が正常に分離できないことを示唆しています。
もしこの現象が繰り返し起こる場合、薬を変更したり生活習慣を改善したとしても、使用可能な健康な卵子を得ることは極めて困難です。
3. 高齢による卵子の質と量の急激な低下 :
- 卵子の質の低下 : このような場合はたとえ卵子を採取できたとしても、卵子内部のミトコンドリアの老化や、非常に高い染色体異常率(多くの場合90%を超える)によって、着床率は極めて低く、流産率は非常に高くなります。
- 終わりのない苦しみのループ :多くの女性が、「採卵 、受精失敗 、 流産 、 再び採卵」という繰り返しに陥っています。これは身体的な苦痛だけでなく、経済的・精神的にも大きな消耗をもたらします。
六、卵子がないという困難を乗り越え、卵子提供で「赤ちゃんを持つ夢」を叶える
しかし、卵子がないからといって、妊娠して自分の子どもを持つことが不可能というわけではありません。
「卵子提供」によって若く健康な提供卵子を移植することで、「卵子がない」という困難に直面していた多くのご家庭に、再び希望の光が灯されています。
1.なぜ日本人患者は次々と「海外での卵子提供治療」を選ぶのか?
日本国内でも卵子提供についての議論はありますが、法律上、商業的な卵子売買は禁止されており、さらに卵子提供のハードルが高く、情報も閉鎖的です。
時間との勝負である女性にとって、「待つこと」そのものが最大のリスクとなります。
そのため、法制度が整備され、医療技術も高水準である台湾が、日本人患者にとって第一選択となっています。
2. 台湾での卵子提供を選ぶ3つの大きなメリット
- 法的保障が整っている : 台湾には厳格な《人工生殖法》があり、ドナー・レシピエント双方の権利義務(匿名性を含む)は法律によって明確に保護されています。治療プロセスも公開・透明化されており、安心かつ合法的に治療を受けることができます。
- 長期間待つ必要なし:台湾では卵子ドナーが比較的多く、通常は治療を決心された後、比較的短期間で治療に進むことが可能です。
- 高い移植成功率:ドナーは厳しい健康診断を通過した若い女性です。質の高い卵子を使用することで、1回の移植あたりの成功率を大きく高めることが期待できます。
3. 国を超えた治療はもう障碍ではない:日本語スタッフによるサポート
「言葉が通じないのでは」「台湾での通院は複雑そう」と不安に感じていませんか?当センターには、日本語専門のサポートチームがあります。
事前のオンライン相談、日本国内での検査連携、台湾到着後の付き添いまで、「ワンストップ」でサポートを提供しています。 異国にいながらも、まるで日本にいるかのような安心感と専門性を感じていただけます。
著者情報
NUWA医療 生殖医療
NUWA医療は、多くの不妊治療の権威や、豊富な体外受精(IVF)の臨床経験を持つ専門チームを結集しています。台北、桃園、台中に拠点を展開し、3つの高規格生殖センター、2つの漢方クリニック、そして3つの国際基準を満たす胚培養実験室(ラボ)を完備。あらゆるニーズに応える包括的な生殖医療サービスを提供し、それぞれの専門領域から、すべての家族が新しい命を授かるその日まで、寄り添いサポートいたします。
主な診療、治療内容:不妊症治療、体外受精(IVF)、人工受精、卵子凍結、卵子提供及び生殖医療カウンセリング。
NUWA医療は、高度な専門技術とぬくもりのあるケアで、すべての家族が新しい命を授かるその日まで、全力で寄り添いサポートいたします。👉 NUWA医療についてもっと詳しく